最近の話題から



メタボリックシンドロームと特定健診
(2008年7月1日記)

最近テレビや新聞で「メタボリックシンドローム」や「メタボ」とよく聞きますがこれはどんな病気なのでしょうか?

一言で言うとお腹がぽっちゃり出ている人は生活習慣病を起こしやすく将来動脈硬化が進み脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなって危険ですよという・・・・・・・・・・病態を表しているのです。

腹回りが男85cm、女90cmを越えると危ないと言われますがこれは内臓脂肪の量を腹回りで代行しているのです。でもこれには色々議論があって腹囲基準は国ごとにまちまちで統一されていません。

男女が逆じゃないか?身長を考慮しなくていいのか?相撲取りは内臓脂肪ではなく腹筋で腹が出ているんだという抗議?もあります。

ではお腹が出ている人はどんな病気を引き起こしてくるんでしょうか?
まずは糖尿病、高血圧、高脂血症などでこれは皆、動脈硬化の危険因子となっています。個々の病気は軽くてもいくつかの危険因子が重なると重大な病気になる可能性が高くなるんですね。

今年から始まる特定健診、特定保健指導はこのメタボリックシンドロームに焦点を当てたもので早期発見、早期指導で将来の疾病の予防ひいては医療費の上昇を少しでも押さえようとしたものです。

なかなか食生活を変えたり運動習慣をつけるのは難しいのでこの健診がうまくいくかどうかはしばらくやってみないと分かりませんが、壮大な国家的実験である事は間違いありません。




長嶋茂雄さんの病気
(2004年3月8日)

 ミスタープロ野球のチョウさんこと長嶋氏が脳梗塞で入院しました。報じられるところによると心源性脳塞栓で倒れられたそうです。

 これは心臓内で血液の塊(血栓)ができ心臓から血流に乗って脳の血管に流れ込み狭いところを詰まらせてしまったものです。その結果その血管から酸素と栄養をもらっていた脳細胞が死んでしまい機能を失います。

 脳細胞は筋肉の動きの指令を出したり言語を司る重要な役割を担っていますのでここがやられると運動麻痺や言語障害を残します。大きな脳梗塞では小渕元首相のように数日もたないこともありますが今回は中等度とのことで命には問題なさそうです。

 さて、心臓の中に血の塊? と不思議に思われるかもしれませんが血液はよどむと固まる性質があります。

 心房細動という不整脈は心臓にある4つの部屋のうち上2つの心房に規則正しい収縮がなくなり小刻みに震える病気です。そのため心室に血液を送り出す運動がなくなるので血液がよどむのです。

 心房細動をおこした犬の心臓を見ているとちりめん皺のような収縮が波状的におこっています。なるほどこれなら血栓ができてもおかしくないと納得させられます。

 ワンポイント・アドバイスにも書きましたように心房細動は決して放置しておいていいものではありません。ストレスや寝不足、自律神経の失調、心不全など様々な原因で心房細動は起こります。

 脈をとって規則正しく打っていないなら心電図をとってみてください。早ければ正常な脈に戻せることもあります。

 長嶋氏も人間ドックは受けていなかったのでしょうか?
一日も早い回復と復帰をお祈りしています。

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